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圏外へ


昨年のこの時期、ポルトガルのリスボンにいた

初めての一人旅、海外渡航を決行し海を渡った

あれから一年、生活環境は変化して今年同じことをしようとしても決してできなかったと改めておもう

タイミングと縁と勇気、勢いが重なった奇跡的な旅だった


初めての海外渡航は往復の航空券と宿だけ旅行会社で手配した

自分でチケットを取り宿も選べば費用を抑えられたとおもうが、初めてとあって怖くてできなかった

旅慣れてくればそれも可能だし、今度はそのような方法で旅をしてみたい

東アジアや近隣の国々も行ってみたい

海外に出ることほど大きなインパクトにはならないけれど、小さな旅なら週末に出掛けられる

旅は必ずしもパスポートを持って飛行機でするものでなく、最寄りの駅から電車を使って都内に出るとか、友達に会いに行くとか、ささいなことでも旅になる

生活圏内から離れることが旅になる、というものだ

自分のテリトリーから離れる

生活圏外に出ただけで旅したような気分になるのは、自分が暮らしている街と出かけた先の風景が同じ日本でありながらビビットでカルチャーショックのような格差が広がっているからだ

同じ日本人でも言語が同じだから分かり合える部分があるかというと、そうでもない

人と人のコミュニケーションの複雑さは母国でも難しい

日本に暮らしているけれど、日本人がわからない

そんな気分を味わうようになってきた


圏外へ


今ではスマホが圏外になることはほとんどない

世界中の都市のほとんどでネットはつながるし、命綱のように身の安全を確保するライフラインになっている

時々、ネットに繋らず圏外になるような旅をしてみたいとおもうことがある

デジタルデトックスではないけれど、時にはデバイスから離れて旅そのものを楽しみたいと想像する

命綱をオフにして自分の音に耳を傾けてみたい

自分の音

心臓の鼓動

まばたきの音

唾液を呑み込む音

歩く音

手をこすり合わせる音

風になびく髪の毛の音

ため息

写真も撮らず、記録もせず、物質として何も残さずに、ただ黄昏る

その豊かさが生活に必要だとおもう

それは案外どこにいてもできる簡単な旅かもしれない

スマホを持たず大きな夕陽の見える場所に出掛けるだけで充分だったりする


小さな旅も移動距離の長い大きな旅も

してみなければ見えない景色がある


今日もおつかれさまでした

明日も安全な日になりますように







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