グループ展に行ってきました。
- Megumi Karasawa
- 8月30日
- 読了時間: 3分

連日、個展の準備に没頭する中で、少しだけアトリエを抜け出し、知人の陶芸家さんが参加するグループ展を観てきました。
自分の作品と向き合う日々が続いているからこそ、他の作家さんの作品に触れる時間は、新鮮でとても貴重なものに感じられました。
今回は、その展覧会から得た、大切な気づきについてお話ししたいと思います。
「ひび割れ」に魅せられる人たち
私が観に行ったのは、京橋のギャラリー檜で開催されていた「ひび割れ」展です。
この展覧会のテーマについて、ギャラリストの三浦紀夫さんが書かれていた言葉が心に深く響きました。
たとえばコンクリートの壁に「ひび割れ」があると、ほとんどの人は埋めようとか補修して元通りにしたいと考える。 ところが美術作家の中には、「ひび割れ」に魅せられてしまう人がいる。(中略) くそのやくにも立たないかのように見える「ひび割れ」の魅力を堂々と披露する展覧会になっていることだろう。
この言葉を読んだとき、私は自分の制作におけるあるコンプレックスを思い出しました。
それは、特定の道具に「こだわり」がないこと、そして、その「こだわり」のなさが、まるで「夏休みの自由課題」に取り組む学生のようだと感じていたことです。
私にとって、それは作品の「ひび割れ」のような、埋めたい欠点でした。
しかし、この展覧会は、一見ネガティブに見える「ひび割れ」を、堂々と「魅力」として捉えることを教えてくれました。
「手の熱」が宿る作品
特に、陶芸家ミカミヒロシさんの作品には印象に残りました。
陶器という三次元的作品は、土のひび割れや、釉薬のわずかな剥がれ、そして表面のざらつき一つひとつから、作家の「熱」が直接伝わってきます。
さらに完成した作品を、破壊しまた創造へとつなげる再生のプロセスは、土という原初的な素材に注視させました。
土をこねる。土を焼く。
この過程こそが人がものを作り破壊しまた再生する、そのものだと思いました。
それは、私が自分の作品で表現しようとしている「描く瞬間の情動」や「マチエール」という、言葉では言い表しにくいものと共通しているように感じました。
「ひび割れ」というテーマのもと、ミカミさんをはじめとする作家さんたちが、それぞれに異なる「熱」と「哲学」を作品に込めているのが伝わってきました。
欠点から生まれる美
この日は、完璧ではない、一見「欠点」に見えるものが、最も深い美しさを生み出すのだと実際に作品を鑑賞して気付きました。
私の作品にある「こだわり」のなさは、埋めるべき「ひび割れ」なのでしょうか?
自問し考えることこそがアートのもたらす影響だと思います。
この気づきを胸に、自身の個展準備に再び向き合っていきたいと思います。
「ひび割れ」というテーマから生まれる多様な作品を、会場で鑑賞できてとてもいい時間を過ごせました。どうもありがとうございました。
ひび割れ展
ギャラリー檜 B・C
2025年8月25日(月)~8月30日(土)
11:30~19:00(最終日 17:00まで)
東京都中央区京橋3-9-9 京橋ビル2F
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