時間のふくらみ
- Megumi Karasawa
- 5月3日
- 読了時間: 3分
皐月
激しい雨が降る一日となった
土砂降りの雨は夜七時から八時がピークとなった
花壇に植えた朝顔の種
半袖で充分なくらい暑い日が増え種の成長を促進した
双葉が芽を出して、みるみるうちに増えている
朝顔を種から植えて育てて三年になる
三年前の種を増やし続けている
今年は新しい種を植えてみた
紫とピンクと斑入りのピンク
三種類が花を咲かせる予定で、いまから待ち遠しい
どんな花壇になるか楽しみだ
某日、午前中は資料読み、それからドローイングを十二枚描き家族の行事で学校まで出掛けた
大きな出来事もなく、淡々と過ごす
調べものをしていたら、急に岐阜県立美術館に行きたくなった
アクセスを調べると自宅から約三時間半以上かかるという
岐阜美術館は世界的な質と量を誇るルドンコレクションが有名だ
某日出掛けた美術館ではルドンを鑑賞した
ルドン作品に感銘を受け、もっと観たくなったのだ
ルドンの油彩画は何となく知っていた
しかし初期の黒の作品を知ったのは銅版画を始めてからだった
駒井哲郎氏に師事していた版画工房の店主の影響もある
駒井哲郎氏はルドンの銅版画に影響を受け、著作で作品を紹介し素晴らしさを語っていた
ルドンの色彩豊かな油彩に移る前の
銅版画や石版画の魅力を生で鑑賞できた喜びと感動に浸っている
オディオン・ルドン/Odilon Redon
オディオン・ルドン(Odilon Redon 1840~1916)
十九世紀後半から二十世紀初頭にかけて活動したフランスの画家
幻想的で神秘的な作風から象徴主義を代表する作家である
一八七〇年から八〇年にかけて黒の世界を追求し
木炭画や銅版画、石版画で奇怪で幻想的な作品をつくり版画集を出版する
十九世紀半ばフランスでは簡便で価格の安い版画は一般的に広く流通し、流行した背景があった
当時、黒は都会的な色彩として服飾センスにも共通し、精神性やロマンティシズムも表わす色だった
一八九〇年代からの後半生は色彩を用い新たな画風を展開した
これまでの文学的な要素からより理解しやすい主題に移り
肖像画、花の絵、神話画、 装飾画などを手がける
パステルや油彩で色彩豊かに描き世界的な名声を獲得した
ルドンを鑑賞した後でポートレートを描いたら
横顔で伏し目がちな人物になった
素晴らしい絵を観た感動は画面に反映する
雨の降る音を聴きながら静謐で神話的なポートレートを描いた午後
たっぷりした時間のふくらみを感じた
こういう時間、四月には取れなかったな
今日もおつかれさまでした
明日も安全な一日になりますように
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