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執筆者の写真Megumi Karasawa

1本の線の重み

「風景の構造」について改めて考えてみる


今年の夏は例年以上にアクティブに動いています

下半期、ふたつの展覧会が控えているのでその準備を進めています

今月27日から始まる「第8回 菜々燦会」展では

展覧会に出品する作品テーマを「Landscape Struture風景の構造」としました

このテーマを4つのカテゴリーに分けて作品を展開するのですが、

その中の一つ「風景の構造」は去年から追いかけている興味深いモチーフで多くのドローイングを積み重ねてきました

この「風景の構造」

一体どこから来てなにをあらわすものなのでしょうか…改めて考えてみました


2023年からそれまでの水平垂直の均衡感覚から逸脱するために作品の上下をひっくり返したり、ずらしたり、つなぎあわせたりしながらイメージを脱構築する作業を開始しました

この制作を始めた頃、当たり前のように存在していた「地平線」.一本の線で表わされるそれを基に天地をひっくり返すことによって、見ているものを疑うこと、視点の転覆を図ることを目的としてきました


この試みを通して画面の水平・垂直にも意識を向け、図形や記号を使いながら風景の見えかたを模索しました

画面は何も意味しない造形上のシミの一部か、図面のようになるか、脆弱な地面を補修する道路工事のようなものになっていきました

それからこの制作が行き止まりになったように感じたのも事実であり,、大きな面(プラン)を配置し画面をより平面的になるように工夫し、一枚の画面に水平線が3本あるモチーフを並べながら突破口を開こうとしているのが現在の状況でした

「制作の行き止まりには当たり前を疑うことができるかどうか」

ここがポイントでした


当たり前であることこそ疑いの眼を向けることは難しい…

なぜなら自分のテリトリー、安全圏内で目につくものだけにフォーカスを当て一点だけを見つめると、それが「すべて」の世界を象徴していてもおかしくないと考えるに至ってしまうからです

つまり自分の住んでいる国、知っている国、知っている文化・知識からより離れたものへ想像を膨らませ、より大胆なアイディアを試してみるという冒険を犯すことなく手の内で解決しようとする囲いを作ってしまうのです



Megumi Karasawa art works 「風景の構造」というモチーフで一番重要だったのは地平線、地平線のない絵画を模索する
「風景の構造」…もっとも重要なのは地平線の概念から逸脱することだった


「地平線」から飛び降りる


地平線

これを一度取り払ったら世界は存在するのだろうか

これを引かずに描けるか


「北極圏では地上と空を分ける地平線のないことがしばしばおこる」


ある本のこの一文を読んだとき衝撃が全身を襲いました

カルチャーショックだった

見ているものの狭さを思い知った

風景の構造…このモチーフは崩れ去った、と…

このモチーフでは芸術のもつ革新性や普遍性には到達できないと悟った

地平線のない国が実際にあることを想像できずにいた

地平線の概念ではないもっと大きなものを見るようにと警告されたようでした

大地に足の裏を付けて立ち遠くに見える地平線によって均衡感覚を確かめ、そこに立ち並ぶ建物や街並みの表面的な姿をパースペクティヴな視点でもって見るように見たとしても、「つくる」ことのそのものへの言及、根本的な動機がズレていたのでは何をしても中身がない…

唖然とする

一本の線を引くか引かないか

この違いによって

絵画は大きく動き出すのでした


当たり前を疑いそれから解放されたとき

自分の足場を外して飛び降りることを意味しているのだと知った

それは展覧会の8日前に起きたことでした


※エドワード・T・ホール(Edward Twitchell Hall, Jr)著.日高敏隆.佐藤信行訳.かくれた次元,みすず書房,1970,p114



「風景の構造」その先?


夏の展覧会直前に崩れ去った「風景の構造」

このテーマは次のステージに進めと促します、10月の個展・発表する作品がどんなものになるか想像できません

未知に向かって足場を外し飛び降りた先には何があるのかわかりません

その先は実践によって開かれます

もっともっともっとその先へ欲望を持って進め!



Megumi Karasawa 「Landscape drawing」2022
Megumi Karasawa 「Landscape drawing」2022

「一本の線の重み」を読んでくれてありがとうございます


よく「破壊と創造」という言葉で芸術が語られることがあります

破壊に含まれるのは、絵画のある状態を一度ゼロに潰し、破壊する

描き直し新しい創造へ冒険するという意味と既存の価値や常識、一般論や当たり前であるという前提によってアクションを制限する我々の認識を「破壊」するということも含まれている

今回この「破壊」することの後者がわたしの仕事にインパクトを与えました

だから「このモチーフでは芸術のもつ革新性や普遍性には到達できないと悟った」し「「つくる」ことのそのものへの言及、根本的な動機がズレていたのでは何をしても中身がない…」と痛感したのでした


「第8回 菜々燦会展」8月27日~9月1日春日部中央公民館2FギャラリーMegumi Karasawa出品します

夏の展覧会のお知らせです


【第8回菜々燦会】

■会期:8月27日(火)~9月1日(日)

■開催時間: AM10:00~PM5:00(初日PM13:00~、最終日PM4:00)

■場所 :春日部市中央公民館 2階ギャラリー

>住所: 344-0061 春日部市春日部6918-1

>電話 :048-752-3080

>交通 :東武野田線(アーバンパークライン) 八木崎駅 徒歩2分



下記の日時で会場で受け付けをしています


♦8月27日(火)~13:00まで

♦8月28日(水)10:00~午前中まで

♦8月29日(木)10:00~午前中まで

♦8月30日(金)10:00~13:30

♦8月31日(土)10:00~17:00 終日

♦9月1 日 (日)10:00~17:00 終日



【The Eighth NANASAN-kai】

■Dates : August 27 (Tuesday) - September 1 (Sunday)

■Hours: 10:00 AM - 5:00 PM (from 13:00 PM on the first day, 4:00 PM on the last day)

■Place: Kasukabe City Central Public Hall 2F Gallery

>Address: 6918-1 Kasukabe, Kasukabe City, 344-0061, Japan

>Telephone: 048-752-3080

>Transportation: Tobu Noda Line (Urban Park Line) Yagisaki Station, 2 min. walk



個展開催のお知らせ

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■10月11日~10月20日

MegumiKaraswa個展

M-gallery 川口

住所:〒332-0016 埼玉県川口市幸町3丁目1−15-G

電話:048-254-8021


こちらも併せてご来場をお待ちしています☺

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