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さらり

ブルーペインティング


実際にキャンバスに描いているときはキャンバスはひとつの空間だと認識するのだが麻布に何らかのしるしを付けたいから描くという欲求に動かされているのだと言いたい

平らな面に描くことなく描きたいと筆を握る

描いたものの全体が絵ではなくて体感そのものであってほしいのだ

冷たい・涼しい・爽やか・温かい・ぬるい・眩しい・暗い・賑やか・静か…

絵を鑑賞するときに自分自身を内観し内省する哲学的時間とここではないどこかに出掛けたときの気分を味わう鑑賞がある

いま描いているのは後者の方で部屋の外に出て散歩するような絵を描いている

外に出て感じることを描いているのだ

もしあなたが何らかの原因で2週間或いは2週間以上入院していたとする

病状の具合から行動制限があり病室とトイレ・風呂の移動くらいしかできない不自由さを抱えている

病室から窓の外を見ると病院の駐車場が見える

診察に来た人かお見舞いに来た人か退院する人か…知らない誰かが車に乗り込んで帰るところを見る

すぐ脇には交通量の多い道路があり人々が移動し車は走り街は動いている

外の空気、外の賑わい、外の時間、外の温度や光、匂いや気配、外に出ないとわからない細かい刺激やストレスやきらめきが恋しい

病室から遠く隔たる異次元のような他愛ない日常の光景

実際に病院で過ごした心情を思い出すと外に対する未練、羨望と物理的距離以外の隔たりがあった

退院して外に出て外に触れた日、時間の流れや空気の目まぐるしいらせんや刺激的なきらめきに反応する自分の五感の活発さ敏感さがあった

眼にはみえないけれど多発的に同時進行する外の危機的状況や平和的環境や時間の伸縮に反応する身体や心の動きを絵から感じてもらいたいと描いている

状況をつくる絵画ではなく、状況によって反応するフィジカルの自然な動きにフォーカスする

描きながら自分も絵の一部になる没入感と、どんどん入れ替わる絵の過程が面白い

描くというより体感するもので体感するようにとしるしている

体感の自然な反応についていうと人間はまだ起こっていないことについて想像を膨らませ大心配をしたり不安や恐怖から冷や汗をかいたりする、震えたり言葉を失うこともある

過度の緊張から生あくびが出たり、誰もいないのに気配を感じて背中がぞわっとしたり、耳鳴りがしたり、鳴っていないのにチャイムの音が聞こえたり、子どもの声が聞こえたり、幻聴や錯覚、幻覚について身に覚えのない人はいない

身体に感じる自然な反応は痛みや喪失、悲しみや絶望とつながることがある

その反対にある感覚や心情に沿う反応をポジティブと捉えたときに絵があるといい

絵は頭からではなくまず身体に直接的に、何らかの振動や反応があるような画面をつくっている


哲学的な内観や内省といった鑑賞とは異なるベクトルで描きながら自分を鑑賞者に仕立てどのような反応が起きるか見ながら描いている

今日もおつかれさまでした、明日も素晴らしい日になりますように


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