庭仕事
- Megumi Karasawa
- 4月19日
- 読了時間: 3分
更新日:4月24日
球根から植える
冬に植えたチューリップの球根が花を咲かせた
芽が出るまでに時間がかかり、土の中でちゃんと育っているか心配になり
掘り起こしてみようかとおもったくらい、留まってよかった
辛抱強く待って三月に芽が出たのを確認するとホッとしたのだった
四月の二週目くらいから蕾が膨らみはじめた
膨らんだ蕾がうっすらと色を帯び最初にクリーム色のチューリップ二本が咲いた
その次に白に濃いピンク色の筋が入ったもの、八重咲の赤とオレンジ色のチューリップ、八重咲きで花びらがギザギザしたゴージャスなオレンジ色に近い赤色のチューリップ、最後に濃い紫色のシックなチューリップが咲いた
陽の光に向かって茎を伸ばし光が注ぐと花びらが全開する
春の陽気が似合う可愛らしい花
球根から植えると愛情もひとしおだ
某日、気温が上昇し最高気温は二十八度となった
気になり始めた家の周りの植物、植物、植物…
花壇にもちらほらと小さい植物が増えてきて、一念発起、草取りを開始した
草取りは好きな仕事だ、すると無心になる
どんどんキレイになる単純さが達成感をもたらすからだ
生存戦略
植物の根っこを切らないように引っこ抜く
途中で切れたらシャベルで掘り起こす
すると予想以上に長い根っこが続いているのに驚く
葉の部分は小さいのに根っこはしっかりと深くて長い
ここまでで雑草という言葉を避けながら書いてきた
なぜなら雑草という種類はなく、植物のひとつひとつに名前があるからだ
雑草に関する知識や知恵を本で知り、結果的に草取りは無駄。という事実を知った
けれど抜かずにはいられない
放置すればジャングルになる
抜いても抜いても生えてきて、抜いたところから新しい種類が今か今かと芽を出すのを待っている
抜いたとき微細な胞子が飛び散って次の種を撒き散らしているとか、草の上を歩いた靴底に種がついて人間が新たな土壌に種を運んでもらう生存戦略を取る種類もある、除草剤を撒いたところで、薬に強い種類が土の中には数えきれないくらい潜んでいる…
そういう情報を知ると草取りは、植物の生命の循環を担う奉仕活動のように思えてくる
日本人の自然観
日本ではおおよそ十五世紀後半から十六世紀後半にかけ戦国時代が続いた
戦国武将たちの家紋は雑草をモチーフにしているものが多い
有名どころでは徳川家康の「三つ葉葵」や、酒井忠次の「片喰」などである
なぜ日本では雑草が将軍の家紋になったのだろうか
西洋ではいかにも強そうなワシやドラゴン、ライオンが多いというのに
これを解く鍵は日本人の自然観(感性と植物とのかかわり)にあるだろう
雑草は英語で「Weed」といい、語源は「有害または望ましくない植物を取り除く」、「有害または不快なものを取り除く」(参照→「Weed」の語源、由来)とある
雑草イコール悪い草だという
ところかわり日本では雑草に生命力の強さを見る
子孫繁栄の願いを込めたのだ
ゲン担ぎや神聖な植物との結びつきを見出し、戦国武将たちが共感と願いを込めて家紋として用いたと言われている
草取りをしながら植物の生存戦略の一端を担うお手伝いをしたところで、引っこ抜いた一面はキレイに整い達成感に浸った
しかし土の下では今まで生えていた植物がどいたお陰で次の別の種類の植物が我先にと出番待ちのデッドヒートを繰り広げている
さあさあ次は誰の番、新しいステージに踊り出る
毎年のように違う種類の植物が生えてくるのはこういう仕組みだったんだと合点がいく
しっくりしたところで、花壇には朝顔の種を撒こう
種から育てると愛情もひとしおなのだから
今日もおつかれさでした
明日も素晴らしい日になりますように
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