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「成功パターン」をなぞれない私へ:「正解」の意味を探す旅


「成功パターン」をなぞれない私へ。3年間ネットショップで一点も作品が売れなかった私が見つけたのは、アートを届ける新しい「動き」でした。過去の挫折と、そこから生まれた「私だけの正解」を探す旅について、正直に綴りました。
身体を動かすように仕事の展開そのものを「動かし」てみよう

新しい「動き」を求めて


今年、いくつかの展覧会への参加が決まり、制作への意欲が一段と活気づいています。以前のブログ(「運動したら、悟ってしまった」)では、五感を通して得られる身体的な動きがメンタルヘルスに良いという話をしました。しかし、今回の私は、その身体的な動きとはまた違う、新たな「動き」を追求したいと思っています。それは、仕事の展開そのものを「動かす」こと。具体的には、ネットショップの開設という再挑戦です。


個展とグループ展では、当然ながら運営や準備の進め方が大きく異なります。去年参加した海外のグループ展では、一人のオーガナイザーがメンバー間を取りまとめ、会場配置や展示空間の調整を主導してくれました。カタログ作成はもちろん、ポスターやチラシといった広報宣伝、キャプションの用意、事務処理や経理まですべてオーガナイザーによって行われたのです。

その時は自分の作品を国際便で無事に届くことだけに集中できました。今思えば、どれほど恵まれた環境だったかを痛感します


三年間の苦い経験と、その「欺瞞」


一方で、自主開催のグループ展となると、メンバー同士がそれぞれ意見を出し合い、運営から広報、事務処理、会場構成、集客まで全てを手分けして行うことになります。この方法は、メンバー一人ひとりに不利がないよう平等に作品を展示することを良しとする傾向にあり、結果として会場は統一的で均一な印象を与えることが多いです。


これはこれで協調性の美しさがある一方で、個々の作家の個性が埋もれてしまうという側面もあります。もしかしたら、その画一化が暗黙の目的とされているのかもしれません。

特に日本では、『右に倣え』という文化が強く、群れを乱すような大胆な発想や行動は排除されがちだからです。


そして、私が今回、過去の経験を深く掘り下げたいのは、オンラインでの作品販売についても同じような「欺瞞」に直面したからです。

以前管理していたホームページは、作品を販売できる仕様にしていたのですが、三年間で作品は一点も売れませんでした。その他にブログと作品の掲載も兼ねていましたが、鳴かず飛ばずの約三年間に終止符を打ち、去年閉じました。


ホームページを管理し始めた頃、オンラインで作品を販売するノウハウや仕組みを集中的に学びました。約4ヶ月間、オンライン講習会やセミナーに参加し、時にはアドバイザーにも相談しました。しかし、どんなに改善と修正を繰り返しても、成果は一向に出ない。あの時のがっかり感、そして正直なところ「もう無理かも」という諦めにも似た気持ちは、今でも重低音のように響いています。


「成功パターン」をなぞれない私へ。3年間ネットショップで一点も作品が売れなかった私が見つけたのは、アートを届ける新しい「動き」でした。過去の挫折と、そこから生まれた「私だけの正解」を探す旅について、正直に綴りました。
リアル(展覧会)とオンライン(ネットショップ)の連動って不可欠なんだなあ

この経験から、私はアートを販売する向き合い方や、SNSでの発信スタンスについても深く考えるようになりました。


「絵を描いて展示するだけで満足するのか、それとも販売したいのか」。


この両者のスタンスには、SNSの投稿一つとっても明らかな違い(差)があるのだと気付かされました

今振り返れば、原因は単純に「やり方がわからなかった」だけでなく、作品露出が不十分だったこと、そして何よりもリアル(展覧会)とオンライン(ネットショップ)が全く連動していなかったことにあるのだと思います。そもそも、「オンラインショップに並べるものが、展覧会に出す高価格帯の作品と同じで良いのか?」という基本的な視点すら持てていませんでした。リアルとオンラインでは、発想そのものを変える必要がある。この重要な気づきは、あのもがき苦しんだ時期を経てようやく得られた教訓です。



新しい発想で「自在な動き」を


このネットショップでの失敗と並行して、私自身、これまでのグループ展への参加姿勢も深く見つめ直すようになりました。

以前は、そのグループ展の『その後』、つまり会の存続や長期的な信頼関係の構築を第一に考えていたのですが、最近、その考えが大きく揺らいでいます。

会の存続よりも、むしろ『自分がどうしたいか』という個人的な意志を第一にしてもいいのではないか、と。アート活動に限らずグループ活動が苦手な私にとって、『誰かのため』や『目的のため』に頑張ることは、もはや内発的な創作衝動に基づかないのだと、今はじんわりと感じるようになったのです。


オンラインショップについても、前回の価値観は捨てようと決めました。「高額ではなくていい、手軽に手に取ってもらえるもの。それは、日常生活を劇的に変えるものではないけれど、ふとした瞬間を持ちたいと思ったとき、小さな潤いを与える存在でありたい。そんなグッズやポストカード、小物類を、私の作品の世界観で展開できないだろうか」と考えています。

自社サイト、ECサイト、越境EC…。以前はこれらしか選択肢がないと思い込んでいましたが、様々なサイトを比較し、その特徴や謳い文句を読み解く中で、オンライン販売の方法は決して一つではないという、目から鱗の気づきがありました。この理解から、私の思考は一気に柔軟になったのです。


アートを突き動かす「矛盾」と「人間性」


リアルな場での展示とオンラインでの販売を、それぞれが独立したものではなく、時空間を自在に行き来しながら連携させることができたら。そうすれば、作品は物理的な空間だけでなく、より多くの人々の心の中を自由に「動く」ことができるはずだと、その可能性を試してみようと思います。


以前の私は、頭でっかちで完璧主義なあまり、販売方法を一直線に考えてしまいがちでした。一つの「正解」のために他の選択肢を排除していました。しかし、ストライクの取り方が一つではないように、アートを届ける方法もまた、多様であるべきなのだと、発想を変えることができました。

結局のところ、グループ展は作品を展示する場であると同時に、人間そのものが剥き出しになる場でもあります。人間同士の欲や見栄、自尊心の表出は、絵画表現と無縁ではいられません。

人間の姿は、どこを切り取っても異なる断面が現れます。だからこそ、他者への眼差しや理解の難しさを痛感させられると同時に、人間のスケールの大きさをどこまで広げられるかというのも、グループ展の醍醐味なのかもしれません。



あなたへ:未来への「動き」を信じて


「どんな動きをするか」。この「動き」という新たな視点を得たことで、思考は一気に広がり、たくさんの発想が湧き上がってきました。これからの新しい挑戦が、私のアートを、そして皆さんの日常を、もっと豊かに「動かす」きっかけになることを願っています。

今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございます。明日もあなたにとって素晴らしい一日になりますように。

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