なぜ表現するのですか
ある日、人と会話をしながらわたしはなぜ絵をつくり描くかを思いがけず知ることになりました
それは自分の性格が根本にある。ということでした
他者から見た自分と自身のウィークポイントが一致し、それが絵をつくる動機になっていることに気付いたのでした
実は人と心地よい距離感を持ちながら会話することがどのようなことかわからず、会話中で意思や決定を下せない優柔不断な部分を持っています
幼い頃…年齢的には4歳から5歳頃…両親や知人、友だち、先生に対して自分の気持ちや意思決定を言うことが特に苦手で隠すような子どもでした
自分の感情や意見を知られたくないのは、相手の反応を恐れているからでした
嫌われたくない
わがままだと思われたくない
仲間外れにされたくない
怒られたくない
こういった恐れから口をつむぎました
みんなと同じでないことや、同じであるとウソをつくことが嫌でした
次第に口をつむぐことがひとつのメッセージ、ジェスチャーになることを学ぶのです…がそれは思春期になってから.
恐れの根本には、人を悲しませたりガッカリさせることは悪いこと、いけないことなんだという決まりを作っていたからです
また変化に対する耐性が低く、知らない環境や変わりやすい状況に対して極端なくらい恐怖と不安を抱く傾向もありました
取り囲む大小さまざまな恐怖心が決定に優柔不断さをもたらし、言動は煮え切らなさとして反映され、自他共にウィークポイントとして認識されるのでした
このウィークポイントが絵を描くことに繋がるのです
言葉は持っているのに、発声できない気持ちや感情は、なんらかのジャンル・分野を媒介すると一気に流れ出て自分を解き放つことができたのでした
外見や内面を露出せずに、絵という物体を通して他者に伝えられることがあると知るのです
絵を描き、描いたものを通して他者とコミュニケートする社会的なきっかけを掴もうとしていたのです
なぜ表現するのか。
それは意思を持って伝えたいことを、表現を媒介することで間接的になり、絵でしか伝えられない言語に置き換えられたとき、初めて他者と自分が対等な存在だという実感を得るからです
「対等」とは、自身の劣等感やコンプレックス、自己に対するあらゆる戒めを解くものです
なにを表現しているのですか?
これは高校生の頃から一貫しているテーマで、ステートメントでもある
「みる」ことを問うということを表現しています
芸術の歴史を先史時代の洞窟画に遡ってみても、人間は自分の目で見たものを再現し他者とコミュニケーションを図ってきました、それにはあらゆる意図があり意味が含まれていますがまだ何故描いたのかは特定できてはいません
「再現する」ことの意味は、写実的に上手く描くことではありません
まして先史時代にはカメラやスマホはありません、スーパーリアリズムかどうかといった基準は適用されません
自分が見たものの感動や美しさ迫力や発見、魅力的な部位を誇張しながら、肉体的な圧力をかけて描き残す…堅い岩肌に絵を描くことは力を持って刻むことであり、彫ることでもありました
そこに惹かれるのです
この一見シンプルな「みる」ことを自分に引き寄せ、主体的に肉体的な感覚を伴いながら「みる」にはどうすればよいでしょうか
道具を使ってイメージを彫りおこし、刻み、線や形、色を構成しながら生々しさを画面に与えることによって身体にある感覚をもたらすことが可能ではないかと考えます
有機的な動きによって現れる不定形なシミやかすれ、滴り、塗り残しやタッチはそれらを構成する要素です
偶然に任せながら作者の意図が不可欠です
要素は大きな目的に向かって収斂されます
実現したいのは、立体を扱うように手ごたえのある線や形を刻むこと
例えば薄い紙にも奥行きがあり深さがあると仮定して内部から形を彫り起こすように、そこに眠っているものを取り出したいという欲求があります
これは「みる」ことの向こう側にある何かに迫り掘り出し、刻んだものをあらわす物体としての絵画をつくりたいということなのです
I see
英語の〈See〉という言葉を持ち出すまでもなく、見ることは〈I see〉すなわち「わかる」という言葉と同義であった。眼を通して知識を得ることが「見ること」のまわりにいつも付きまとっているのである。※
※ジョン バージャー ( John Peter Berger, 1926.11.5 - 2017.1.2)著、伊藤 俊治訳.
イメージ 視覚とメディア. 筑摩文庫, 2013,p222.
「あなたはなぜ表現するのですか?を読んでくれてありがとうございます」
作品を制作していると、「わたしはなぜつくるのか」「なにをつくっているのか」と自問することがあります、手を動かしながら一瞬時がとまったような錯覚を覚え、この「なぜ・なに」について考えてみました
つくる動機とつくられたものの矛盾や齟齬がないかどうか、一貫性があるかないかを確かめる方法でもあります
「一貫性」については、いずれ書きたいテーマです…
来月には今年2度目のグループ展が始まります、初めて参加するのでどうなることか予想がつきません😆個人的目標は「作品のスケールを広げる」こと、これは作品サイズもそうですが、内容にも変化があればと制作しています
皆さんが会場で鑑賞に没頭できることを願っています
【第8回菜々燦会】
■会期:8月27日(火)~9月1日(日)
■開催時間: AM10:00~PM5:00(初日PM13:00~、最終日PM4:00)
■場所 :春日部市中央公民館 2階ギャラリー
>住所: 344-0061 春日部市春日部6918-1
>電話 :048-752-3080
>交通 :東武野田線(アーバンパークライン) 八木崎駅 徒歩2分
【The Eighth NANASAN-kai】
■Dates : August 27 (Tuesday) - September 1 (Sunday)
■Hours: 10:00 AM - 5:00 PM (from 13:00 PM on the first day, 4:00 PM on the last day)
■Place: Kasukabe City Central Public Hall 2F Gallery
>Address: 6918-1 Kasukabe, Kasukabe City, 344-0061, Japan
>Telephone: 048-752-3080
>Transportation: Tobu Noda Line (Urban Park Line) Yagisaki Station, 2 min. walk
■Exhibition venue ULR: https://www.city.kasukabe.lg.jp/soshikikarasagasu/chuokominkan/gyomuannai/2/3/1/5622.html
こちらは埼玉県春日部市にある中央公民館で行われている定期的な展覧会です
天井が高く、壁面と床面の広い贅沢な空間をめいいっぱい使い平面作家6名が会場を作り上げます
この場所で作品を展示するのは13年振りです、どんなことができるか楽しみです
旅で持ち帰った様々な要素を反映させ大きな空間に展開するのは新しい挑戦です
ぜひぜひ会場でご覧ください
お待ちしています
個展の開催が決定しました
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■10月11日~10月20日
MegumiKaraswa個展
M-gallery川口
埼玉/川口
こちらも併せてご来場をお待ちしています☺
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