息の長い制作
- Megumi Karasawa
- 3月10日
- 読了時間: 3分
コツコツ型で継続
週末に注文した画材が届きいよいよ始まると緊張感が走ったのだった
まずはキャンバスに下地を塗ることから始める
下地剤の乾燥を含めて下準備に2日充てた
キャンバスの仕事も版画の仕事も待つ時間がある
乾燥や腐食、自然に変化するまで手を加えずに待つ仕事
はやる気持ちは強制的にストップをかけ立ち止まることを促す
これは意義のあるブランクだ、せっかちで焦ってしまう気持ちを落ち着かせる
手を加えないこと
そういえば待つ必要のある制作は随分久しぶりだと気付く
展覧会に関係なくキャンバスに描きたいとおもったのは去年の11月だった
パネルに紙を張りコラージュを施し描画する作品を作っていた
数年続いたあとで個展を機に行き止まりを感じ次の展開を望む気持ちが大きくなっていた
そのとき新しいことをしたくなった、キャンバスに絵を描きたいとおもったのだ
これまでほとんど描くことのなかった人物をモチーフに小さなキャンバスに描き始めた
個人的な物語を打ち明ける他者から漏れる内密さを描いていた
風景や構造という堅いモチーフから一転、絵具でしか表現できない展開を慣れない手つきで描いた
振れ幅が大きくなったのはこれまでの反動かもしれない
抑圧した気持ちがあったかどうかわからない
キャンバスに描くと言うのは数万通りある気の長い実験と試行錯誤の連続だと実感した
紙との違いは支持体の麻布が画材(グアッシュなど)を受け止める強度があるためどんな試行錯誤もどんな荒く重い身振り手振りも繰り返し重ねられるタフさがあるということだった
薄塗りや厚塗りを駆使して独自のマチエールをつくり絵画空間を構成することもできるし物質感を強調することも可能だ
実際に描いてみると鑑賞するのとは異なる無限の技術展開が可能なメディアなのだと思い知った
ただの平面ではない、平面上でする取捨選択は無際限だったのだ
オリジナルの質感を出すために数多い種類の下地材やメディウムが売られている
それを見るだけで複雑さと多様さ、何を選ぶかが肝心なことがわかった
どこにこだわるか自分の裁量次第である
キャンバスという平面に無防備に放置される自分をイメージする
まるで砂漠で生きろと言われたみたいだ
キャンバスの仕事は学生時代に授業で描いたことがある程度で今回がほとんどゼロからのスタートだった
下地、メディウム、マチエール
これらは初歩の初歩だ
描きながら感覚を掴んでくしかない
描きながら拙いなりにも自分の言葉で絵を描く
息の長い制作、長い目でする制作は諦めず放棄せずコツコツ型でいくのがいい
集中を切らさず新しい展開と新しい画材に向かうとき緊張感とフレッシュな感覚を持ち続け主張ブレず継続は力なりと肝に銘じ描くのだった
スタートはこのような心境だったことを記しておこう
「コツコツ型で継続」を読んでくれてありがとうございます
いつものドローイング枚数を減らしキャンバスにエネルギーを向けるようにした
キャンバスの仕事はほとんど初めてだ、どんなスタートでどんなフィニッシュをするか、計画とスケジュールも決まったものがあるわけではない
按配がわからない、わからないことだけがわかる
状態は不安定だが気持ちは前向きなのが救いだろう
自分がしなければ始まらない仕事だ、他の誰かに代わってもらうことなどできない仕事
絵を描く人はみなそうだとおもう
絵を描く仕事だけじゃない
他の誰かに代わってもらうことなどできない仕事をする人が多いと信じる
描きながら言葉少なくだんだん寡黙になると空白が充満する
今日もおつかれさまでした、明日も素晴らしい日になりますように
春の暖かさを感じた日
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