日本に生まれて
もう何日か前のBlogでカタルーニャについて少し書いたのですがいくつか気になってまたカタルーニャに関連する本を読んでいます
まずカタルーニャ語、カタルーニャ文化の第一人者田澤耕さんが書かれた御本が面白く、著者自身とカタルーニャについてもっと知りたくなったのがひとつ
現代のピカソと言われているスペイン・カタルーニャ美術最後の巨匠と紹介された「ミケル・バルサロー(Miquel Barceló Artigues 1951年1月8日~)」の作品を見て興味が湧きその前の世代の世界的芸術家であるアントニ・タピエスについて知りたくなったことのがひとつでした
アントニ・タピエス(Antoni Tàpies i Puig、1923年12月13日 - 2012年2月6日)の書いた「実践としての芸術」は今の自分に喝を入れるような骨から叱咤するような本です(笑)
田澤氏がカタルーニャ語から翻訳した本で、興味のある方は是非一読ください
タピエスの息づかい、声、話しかたが生々しく伝わってくる文体は田澤氏の素晴らしい訳があってこそです
読みやすく、惹き込まれるタピエスの芸術を堪能できるお勧めの本です
カタルーニャ出身の芸術家が仕事に対して本質的な意図というか信念を持っていかに芸術に人生を捧げ生きたかを鑑みると、大きなテーマは「人間の尊厳の回復と闘争、奪還」ではないかと感じます
カタルーニャがスペイン国内でも独自で稀有な州として存在していることや、歴史的な背景から紛争や弾圧に晒さてきたこと、革命と自由を芸術によって訴えるために、生きる目的や手段として選ばれていることがまずわたしがしている仕事と根本的に異なります
人間として、本来の人間性を社会に叫ぶこと、人々の目を覚まし意識に変化を起こすために訴えること、その方法として彼らがした選択は、あらゆる職業を選ぶ自然さで芸術を選ぶことでした
芸術は生きることに直結し、己れと人間を守り高め無知と戦う役割でありながら、破壊する残酷さも秘めています
熱い血沸る生死を賭けた戦いが背景にある土地で、必然によって生まれた芸術はスペインのみならず世界が抱える問題にコミットメントし波及し伝播するのです
芸術が内包するメッセージが大きく抽象的になるほど、ひとりひとりが「自分ごと」として直に感じる共感とその問題と向き合う責任を意識せざるを得なくなります
それが芸術に参加することに繋がっていくのです
スペイン、カタルーニャの土地、歴史、文化、人間性、社会構造、言語は当然ながら日本と異なり、日本に生まれ暮らすわたしが、どのような芸術を見出し自分に引き寄せ、他者が「自分ゴト」として芸術に参加するか、最終的に何を目指すのかについてガツンと一撃を食らったのでした
日本もある側面、ある場所から見れば独自で特殊な国であり、ここで生まれてどのような芸術を導き出すかに想いを巡らせると、これまでとは全く異なる視座で絵を捉え描くことを欲する自分がいます
この国に生まれたという自覚をベースに土地や社会、精神性を作品に反映することは考えたことがなかったからです
近代のスペイン・カタルーニャ美術の系譜に目をやりながら、日本の美術の系譜、わたし自身について考えずにはいられないのでした
偉大な芸術はわたしたちの奥底にある本能と潜在意識に強く働きかけ、閉ざされていた扉や瞼を開いて目を逸らさずにしかとみることを要求するのでした
青い絵、白いフレーム
夏の展覧会を終え早くも1週間が経ちました
台風10号に翻弄された1週間前がウソのように残暑厳しい週末を迎えています
この数日で友人の銅版画のグループ展を観に行き、数か月振りに美術館に行き、数年振りに友人に会い大いに話したりといつになく社交的な日を過ごしました
どれも刺激的で感銘を受けましたが特に印象的だったのは作品を購入して頂き店舗の一角に飾ってもらえたことです
店舗は地元・越谷でも類まれなセンスとシンプルで品のあるアートピースのようなタルトやシフォンケーキを販売しているお菓子屋さん「lily~シューとシフォンと…~」です
内装や雰囲気に店主の「美」を詰め込んだこだわりの空間は大人の品があり小物や金具、ショーケースの中のお皿に至るまで上質でキラリと粒立つセンスには毎回うっとりしまた来たいと思う心地良さが漂います
壁面はコンクリートのグレイがクールでスタイリッシュな印象を与え、お店のイメージカラー・ブルーが引き締めています
日常から離れたラグジュアリーな空間とスイーツの佇まいに惚れ込みいつ訪れてもお客さんが次々と入って来ます、なので午前中に売り切れてしまうことも❣お店を行かれる際には開店してすぐに訪れることをおすすめします🤍🤍🤍🤍🤍
この店内に白いフレームの青い絵が調和している光景を見て、自分の作品ではないような(笑)作品が一段格上げされたような気分になったのでした
いい意味で自分のアクの強さや癖や主張が抑えられているからこそ、このような場に爽やかさと清涼感をもたらしていることを発見し、うまく言葉にできないですが…絵であって絵ではない感じがしたのです
それは「絵」という概念的なことから出発せずに仕事をすること、それを指し示す新しい方向があるという予感がしたのでした
「絵であって絵でないもの」を読んでくれてありがとうございます
個展に向けて気持ちを新たに過ごしています、大きなイベントがあった後には前向きで活力に溢れたエネルギーに満ちています。この気持ちは自分だけではなく周囲の人にも健康的で明るいオーラを放ちます。それによってまた自分もパワーを分けてもらっています。食生活も気を配りたいと意識が細やかになり、シンプルさに収斂されていくような感覚があります。個展のDMやステートメントも近く公開できるように準備を進めています。過去の作品はMegumi Karasawa Web Site各SNSで公開していますのでご覧くださいませ😊
個展開催のお知らせ
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■10月11日~10月20日
MegumiKaraswa個展
M-gallery 川口
住所:〒332-0016 埼玉県川口市幸町3丁目1−15-G
電話:048-254-8021
こちらも併せてご来場をお待ちしています☺
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