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チャンス

更新日:8月11日

チャンス


数十年前に恩師が言っていたことを思い出すのは、彼が通過した同じ年代を迎えたからだった

「40代が一番苦しかった」

具体的に何があったかどんな気持ちだったかは判らない

その一言は20代だったわたしに強い印象を残したのだった

頻繁にやってくる感情の起伏、無力感、倦怠、不定期な体調不良

疲れやすく、ダメージを受けたら元に戻るのに時間がかかる

(心の新陳代謝も悪くなったようだ)

底を覗いたらすぐに沼に落ちてしまいそうでヒヤリとする

これが40代なのだろうか

日々はそうした事を繰り返し依然としてもがいている


しかし、しかしだ…

数年前から漠然と抱いていた願望を叶えたのはこの年代に入ってからだった

「できない」「無理」「怖い」「危ない」「資金がない」「やったことがない」

心配を数えれば、やらない理由はたくさんあって、どれも正当に思えた

しかしそれを振り切って実行したのは

「準備ができたときに、それはやって来る」

この言葉を見つけたからだった

振り返るとそのための準備期間だったのではないかとおもう小さな失敗や後悔がある

なんとかモノにしたかったチャンスが指の間から逃げていくような日々が横たわる

人間には物理的な時間以外に、もうひとつの時間を持っていて体内時計と言われる個人的な実感が基準の測りがある

これは音より後に空が光る雷のようなもので、タイミングやチャンスは遅れてやって来るということだ

なぜかは判らない、しかしそういうものなのだ


ズレ…

遅延の度合いは数年かかれば、数ヶ月、数日かもしれない

薄い紙が微妙にズレて重なる

音が微妙にズレて反響する

シャッターを押すタイミングが微妙にズレてブレる画像

数ミリ、数秒の揺らぎがこの世界にはある


もし仮に現在が平坦でぐるぐると迂回しているように感じていたら、これがどこかに繋がるかもしれないという期待によって救われることがある

そのとき、パウル・クレーの<建設中のL広場>という絵を思い出す


「教会の塔からみるだけでも、広場の動きが滑稽に見えるが、わたしが見ている場所から見ると一層、滑稽だ」1)


と日記には記されている

この絵を見たとき、一方向しか見ておらず、同じ視点からの絵を描いていたことに気付かされた

クレーは360度どの視点からでも見るよう誘う、時には風景をレントゲンにかけたように内部の構造を透かしてみせる

視点の移動だけではない数多くの絵画的な技法を駆使しながら.

あるやり方、この視点、何パターンかを組み合わせながらめくるめく不思議をつくりだす

この大地の一層下にある深刻な孤独、辛さ、無力感がさらりと風に吹かれるような軽快さのある絵なのだった

不安定になり揺らぎ、このままじゃいけないという焦燥感はあるのに硬直する身体

そんなとき歯を食いしばり状況を打開するために行動を起こす?

そのまま目をつむり身体を休める?

信頼する人に助けを求める?文字をしたためる?

料理をする?

やりかけの家事を進める?

ネットをみる?スマホをいじる?

寝っ転がって本を読む?

買い物に出る?散歩にでる?音楽を聴く?

いや…仕事に戻る…いや戻ろう

選択肢はある、このままではいられない


チャンスは準備された心に降り立つ

ルイ・パスツール(Louis Pasteur, 1822- 1895)2)



参考文献

1)パウルクレーPaul Klee, 1879 - 1940)著.土方 定一 (翻訳), 菊盛 英夫 (翻訳), 坂崎 乙郎 (翻訳). 造形思考(上).ちくま学芸文庫, 2016, 480p

2)稲垣栄洋.「雑草」という戦略 予測不能な時代をどう生き抜くか. 日本実業出版社, 2020 ,p82



ルイ・パスツール「チャンスは準備された心に降り立つ」という言葉を用いて、わたしの実体験を元にチャンスについて書いています
チャンスは準備できたときにやってくる

「膨張と収縮」


夏の展覧会には、「膨張と収縮」という新しいシリーズを出品します

街の姿を心臓のように繁栄と衰退を繰り返し伸縮する様子を描き出しています

表面的にその様相を変化させる街の姿です

地形は変化しない

地面を整え街を整備し、建物を合理的に利便性をもとに配置するさまは子どもがブロックで街をつくるのと似ています

日本の地形を基準とし当然だと思っていたのが、海外の地形の険しさを知り覆りました

それはこの平坦さを一層奇妙なものとして映しました

風景は見られるものではなく「見た」ものに変化し、見たものは「見る」ものへ変化するのです

「見る」とは作品が現実に似てきたことを物語ります

この作品はSNSで公開していますので、どうぞご覧ください



「チャンス」読んでくれてありがとうございます


夏の展覧会が早くも1ヶ月を切りました…この展覧会に誘われたとき、「大きな作品」にチャレンジできる!と感じたのを覚えています

それまでA4やA1パネル、30×30cmサイズを行ったりきたりの展開をしていたからです

実際に仕事を進めると、大きさって際限はなくてどこまでも大きくできるし、どこまでも展開できる可能性があって、描く人の創造性を押し広げることになることを知りました

大きさによってひとつの言語を獲得することもあるのではないでしょうか…たとえば、その絵の中に吸い込まれてしまいそうになる感覚や、絵と同一になってしまったような錯覚を覚えるとか…

真っ新なキャンバスを目の前にしたときの作家の心の動きや決意?覚悟?は本人にとって神聖で重要な儀式ではないかと想像します

少しづつ、一歩づつ、作品のスケールを広げるべく慎重に進めるのがわたしの性分です😓

作品が会場でどのように見えるか、わかりません(以外と小さく見えるのかな…)

新しいチャレンジができることが嬉しいです

是非、会場でご覧ください、お待ちしています😉



【第8回菜々燦会】  ■会期:8月27日(火)~9月1日(日)  ■開催時間: AM10:00~PM5:00(初日PM13:00~、最終日PM4:00)  ■場所 :春日部市中央公民館 2階ギャラリー


【第8回菜々燦会】

■会期:8月27日(火)~9月1日(日)

■開催時間: AM10:00~PM5:00(初日PM13:00~、最終日PM4:00)

■場所 :春日部市中央公民館 2階ギャラリー

>住所: 344-0061 春日部市春日部6918-1

>電話 :048-752-3080

>交通 :東武野田線(アーバンパークライン) 八木崎駅 徒歩2分



下記の日時で会場で受け付けをしています


♦7月28日(火)~13:00まで

♦8月31日(土)10:00~17:00 終日

♦9月1 日 (日)10:00~17:00 終日


この日以外の平日午前中には会場に行く予定です

ご連絡を頂けると幸いです



【The Eighth NANASAN-kai】

■Dates : August 27 (Tuesday) - September 1 (Sunday)

■Hours: 10:00 AM - 5:00 PM (from 13:00 PM on the first day, 4:00 PM on the last day)

■Place: Kasukabe City Central Public Hall 2F Gallery

>Address: 6918-1 Kasukabe, Kasukabe City, 344-0061, Japan

>Telephone: 048-752-3080

>Transportation: Tobu Noda Line (Urban Park Line) Yagisaki Station, 2 min. walk



個展開催のお知らせ

👇👇👇

■10月11日~10月20日

MegumiKaraswa個展

M-gallery川口

住所:〒332-0016 埼玉県川口市幸町3丁目1−15-G

電話:048-254-8021


こちらも併せてご来場をお待ちしています☺

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