ロスト・ペインティング#3
- Megumi Karasawa
- 3月24日
- 読了時間: 3分
更新日:3月25日
白に染まる
作品のメインカラーは白とする
白は記憶を喪失する様子
思い出せない記憶
失われる時間の象徴
いつからか時が止まったかのように成長と成熟のピークは頭打ちになった
絵に対する考えの基にあるものは学生時代の学びで、大人になったらある程度固定してほぼ動かない
以後同じようなところを行ったり来たりしている
歳を取る感覚も歳を取ったと実感するようなこともなく、歳を考える暇なく家事に追われた
去年から髪に白いものを見つけるようになった
以前より増える白髪を見るたびに衰えや老いを意識する
体の組織は新陳代謝をしながら加齢に合わせて内部調整を図っている
髪の毛に白髪(グレイ・ヘアと呼びたいところだが)が一本、二本、三本、四本と増える
顔のシミや顔色が黒ずむ
目を背けたくなる外見の変化
これらは加齢によるメラノサイトの低下と言われている
外見の変化は心理に小さく深く影響する
黒い色が成長と成熟につながる若々しい生命エネルギーの象徴だとしたら、白い色は老いや衰退につながる縮小の象徴になるだろう
わたしが好んで黒い色で制作していたとき精神的なタフさに憧れ肉体的な健康は精神力で維持できるものだとおもっていた
弱さや脆弱さ繊細さを克服するように力任せに黒を用いた側面はなかっただろうか
記憶の取り扱いにしても記憶を呼び覚ましたいと力任せに考えた側面はなかっただろうか
力のあるもの、勇敢なもの、鼓舞するもの、情熱的なもの、掻き立てるものを作品にぶつけた
情熱の炎で火傷するような、迫りくる圧倒的な力を持つ色を味方に自分自身に念じ圧力をかけた
一種の暴力を用いて黒を使った
チューブから白くどろりとした絵具を直接キャンバスに絞る
白い色もまた暴力となる瞬間だ
他の色を呑み込みモチーフを取り込み素地に戻す
描いたものを塗り潰す静かな抵抗
取り戻せないものにする喪失の抱擁
白に染まり色は粒に解体する

悪魔の囁き
黒と白
象徴するものが完全に違う、全く反対の意味をなす色、複雑な意味を持つ色
等しく暴力を含有する色
わたしは自分の年齢とともに選ぶ色や選ぶスタンスが留まらず変化をすることを絵画を通して理解した
自分の生が有限で限定的だと知ると絵に対する気持ちや好みも別になった
刺さるものが違う、共感が違う、目線が違う
絵が変化し絵に与えるステートメントを書き始めた矢先、悪魔が囁いた
身体が緊張し心に不安が走る
おまえはどうしてこんな絵を描くのか
どうしてこんな絵を描くのか
どうしてこんな絵を描くのか
どうしてこんな絵を描くのか
絵に向かうことを躊躇う
描くことを否定する言葉を脇に置き失意のうちに描く
「ロスト・ペインティング#3」を読んでくれてありがとうございます
衝動的に髪を切りたくなり急遽美容室に向かった
美容室でアート作品を飾ることの良さについて書いた昔の記事を思い出す
(👉フレームからハミ出す 2021年11月7日)
予定にないことをしてみると大胆さのために気分がスッキリする
作品の言葉探しをしている
作品に対するメモを増やしている
どうにかしっくりくる言葉を探して文章に落としたい
ブログに書き残す
三月中にいくつかカタチになるといいなと思いながら描いている
今日もおつかれさまでした、明日も素晴らしい日になりますように
引き続き花粉症にはお気をつけください
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