練馬区美術館「追悼 野見山暁治 野っ原との契約」展
某日、年内最後の芸術鑑賞に出掛ける
向かった先は練馬区美術館、野見山暁治展
2023年6月、102歳で永眠したこの画家は練馬と糸島にアトリエを構えた
アトリエのある練馬は練馬区美術館開館準備中から画家の作品を収集を続けていてコレクションが充実している
2025年に建て替え予定のため2階のワンフロアのみが会場となった
前期・後期で内容を変えて作品約80点を展示していたが、広い会場ですべてをみたかった
わたしは後期の展示を観に行った、絶筆となった作品を観た
人間の臓器・心臓のような形にみえて何らかのメッセージを発しているようだった、生命体はどくどくとまだ生きているように脈打っていた
晩年近く2020年代からは厚いマチエールと描き残した地のキャンバスが見えている部分とが絶妙だった
闊達な筆さばきと大らかな動きが塗り残しを留めた箇所と絵具の滴りが非作為的のポイントで静止し部分と全体の境界ない突き抜けた平面を感じさせた
作品ひとつひとつのスケールがキャンバスのサイズ以上に見えた
今度は大きな会場で大回顧展を観たい
すでに図録は完売し再販の予定なしとのこと残念
改装工事が終了した暁には是非大回顧展を開催して欲しい
2024年10月06日(日)~ 2024年12月25日(水)
練馬区美術館
開館時間10:00ー18:00
観覧料:一般500円
「美術館に出掛ける」を読んでくれてありがとうございました
練馬美術館は通っていた大学から電車で5分のところにある
学生時代に2回くらい観に行ったような気がするがあまり覚えていない
西武池袋線に乗ると学生時代を思い出す、学生生活に馴染めないまま卒業した
よそ者のような気がずっとしていた、それは今も変わっていない
新しい環境で新しい人間関係を築くのに時間がかかる、どんな自分でいたらいいかわからないのだ
ああ、もうこんなに長い時間をかけて乗り継いで学校に通うことはできないなといい大人になって実感する、それくらい満員電車は体力を消耗するし刺激が多い、駅は息苦しく感じたし目が回った
20代のわたしはよく通えたものだ、両親はよく通わせてくれたものだ…感謝しかない
大学の同級生の顔が思い浮かぶ、あの時から20年以上は経っている
みなどこで何をしているだろう、同級生の一人はグローバルに活躍していて現代アートの
最前線にいる
山手線の車内である二人組が時間を巻き戻せるならどうしたいかという話をしていた
男性が「過去に戻るならどこまで戻りたい?」と聞くと女性が「1時間前がいい」とこたえた
1時間前に戻りたい。という発想をしたことがなかったから、え?と思ったけれど今の若い人の感覚からすると現代のスピード感覚からすると1時間でも大きいのかな…
そうか、1時間前は取り戻したい過去になるのか、1時間60分の密度は人によって違うのだろう
わたしは20年以上前の過去に想いを馳せていた
20年なんて1時間からしたら大昔になってしまう、ここに戻って学生をやり直したいとは思わないけれど、その時の自分に声を掛けてあげられるならば何て言うだろう
…思い浮かばない
当時を肯定することも否定することもできない
自分が言えることを探している。と辛うじて言うだろう
付け加えるなら20年後自分がここにいることがありがたいと言うだろう
どんな偶然か、この歳まで生きれたことが自分を支えている
クリスマス
今日に感謝しておつかれさまでした、明日も素晴らしい一日になりますように
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