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『ロスト・ペインティング』探求録:三日目の視点、この空間で得た「負荷」と、個展へ。

グループ展3日目。会場で感じた「いい負荷」について深く掘り下げています。悔しさや反抗心といった感情が、心理学で言う「昇華」の過程を経て、創作の不可欠な「栄養源」になるという気づきについて書きました。
展覧会三日目のレポート。

グループ展『第9回 菜々燦会展』は、本日で三日目を迎えました。会期も中盤に差し掛かり、連日ご来場くださる皆様に心より感謝申し上げます。

この数日間、会場で作品と向き合い、私自身のアーティストとしての立ち位置や、作品を「露出していく」ことの「意味」について、改めて深く考える機会を得ています。


作品を露出していくという選択、私なりの「意図」


今回のグループ展は、私にとって、作品を発表する場を増やしていくという明確な目的を持っていました。それは、自身の作品が、多様な環境や文脈の中でどのように存在し、どのような展示空間を生み出すのかを「実践的に学ぶ」という挑戦です。


天井が高く、横に10mを超える壁面という広大な空間での展示は、作品の配置や見せ方において、これまでの私の思考をさらに広げる機会となりました。小作品24点と中作品12点を一体化させ、色彩を統一して群として見せる試みは、限られた空間で個々の作品が持つ力を最大限に引き出し、新たな視覚体験を創出するための探求です。


この展覧会は、私の作品をモノクロに限定することから「冒険」するための試行の場でもありました。また、特定のモチーフを通して過去から現在と向き合うための時間が必要だったことも、今回の参加の意図の一つです。


見据える先:個展という次の舞台へ


私の探求は、常に進化し続けられるように、自らに「いい負荷」を与えることでもあります。ここで言う「いい負荷」とは、単なる快適さや成功だけを指すのではありません。アウェーと感じる会場での経験や、外部の情報(同世代の活躍や作品、観客の反応など)から引き起こされる悔しさや反抗心といったエネルギーのことです。


心理学では、このような負の感情を「昇華(Sublimation)」と呼び、社会的に価値ある活動、特に芸術へと転換する強力な原動力になるとされます。美術史を紐解けば、多くの偉大な芸術家たちが、内面の苦悩や葛藤を作品に込め、普遍的な表現へと昇華させてきました。この感情は、決してネガティブなものではなく、私の創作における不可欠な「栄養源」になっていたことに気付きました。


自分にとって心地よい場や相性のいい空間を求めることをやめない一方で、それができない場でどう作品を見せていくか、どんな場で何をするかということに視座を広げることができたのです。


今回の会場は一般的なギャラリーとは異なる要素がある分、二度経験したことで作品展開や構成についてこれまで以上に真剣に考えることにつながりました。作品を露出する中で、私の現代アートが、空間を丸ごと作品化するような、劇場型の方向に向かうのだろうか…と模索は続きます。

この経験は、次の大きな目標である「個展」へと繋がる、かけがえのないステップです。


個展では、私の作品世界をより深く、そして一貫したキュレーションのもとで表現したいと願っています。今回の作品露出で得られた「学び」や「気づき」は、その個展の構想を練り、私の作品とその方向性について再考する余地をたくさん残してくれました


会期と在廊のご案内


グループ展『第9回 菜々燦会展』は、7月15日(火)から20日(日)まで、柏壁市民センター2Fギャラリーにて開催されます。

私の在廊予定は以下です。


  • 7月19日(土)10:00〜17:00

  • 7月20日(日)10:00〜16:30(最終日)


ご来場が叶わない方は、私のSNSで会場画像を投稿していますので、そちらをご覧いただけると幸いです。



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