個展に繋げて:途切れながらも搔き集めたものたち。
- Megumi Karasawa
- 8月22日
- 読了時間: 2分

個展に向けての制作も、いよいよ大詰めを迎えています。
このWixブログでは、これまでの私の思考や葛藤、そして小さな発見を記録してきました。今日は、それらがどのように今回の個展に結実したのか、お話ししたいと思います。
灰色を見つける
始まりは、灰色という色との出会いでした。制作が捗らず、無気力に陥っていた私にとって、灰色はすべてをニュートラルに戻し、一時停止を求める色でした。
しかし、その探求は美術史や哲学へと広がり、灰色が「物質性」「客観性」、そして「差延」という、多層的な意味を持つことを教えてくれました。
私の作品に現れる「不完全さ」や「ずれ」は、完璧ではないことの証拠です。
でも、灰色が教えてくれたのは、その不完全さこそが、作品に深みと生々しさを与えるということでした。
そして不完全であることは消化不良でない状態、手を止めた瞬間でさえ完璧な生々しさを求める上で、完璧な不完全でなければという新たな気づきでした。
衝動が作品を生む
灰色との対話を経て、私の制作は一気に動き出しました。
これは黒と白を使ってきたわたしにとって最後のピースのようなモノトーンの世界からの手紙のようでした。
思考や計画を上回る衝動が、予想以上に次の作品を求めたのです。
それは、ジャクソン・ポロックに代表される「アクション・ペインティング」にも通じる、身体的な行為そのものが作品となる感覚でした。
私の「ロスト・ペインティング」の再構築も、過去の作品と今の私が、時間軸を超えて対話する「差異」の行為です。
これは当初、漠然とテーマにしていたキーワードでしたが、その言葉に行為が乗っかりました。
途切れながらも搔き集めたものたち
「まなざしと差異」。いや、「まなざしと差延」は、制作の過程で生まれたこれらの気づきのすべてを包含しています。
私の作品は、これまでの私の思考の軌跡であり、途切れながらも掻き集めた探求の記録です。
それは、無気力な日々、衝動的な筆致、そして過去との対話を経て、ようやく辿り着いた、妥協のない「不完全」の美しさです。
会場に足を運んでくださる皆さんには、作品を鑑賞するだけでなく、このブログで綴ってきた私の思考のプロセス、そして作品そのものが持つ「物語」を感じ取っていただけたら嬉しいです。
個展の詳細は今しばらくお待ちください。
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