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個展に繋げて:途切れながらも搔き集めたものたち。

現代アーティストMegumi Karasawa の毎日更新するBlog.個展に向けて今日も制作をしています。個展につながる毎日の気付きを綴っています。
新たなパネルに下地を施した日。

個展に向けての制作も、いよいよ大詰めを迎えています。

このWixブログでは、これまでの私の思考や葛藤、そして小さな発見を記録してきました。今日は、それらがどのように今回の個展に結実したのか、お話ししたいと思います。



灰色を見つける


始まりは、灰色という色との出会いでした。制作が捗らず、無気力に陥っていた私にとって、灰色はすべてをニュートラルに戻し、一時停止を求める色でした。

しかし、その探求は美術史や哲学へと広がり、灰色が「物質性」「客観性」、そして「差延」という、多層的な意味を持つことを教えてくれました。


私の作品に現れる「不完全さ」や「ずれ」は、完璧ではないことの証拠です。

でも、灰色が教えてくれたのは、その不完全さこそが、作品に深みと生々しさを与えるということでした。


そして不完全であることは消化不良でない状態、手を止めた瞬間でさえ完璧な生々しさを求める上で、完璧な不完全でなければという新たな気づきでした。



衝動が作品を生む


灰色との対話を経て、私の制作は一気に動き出しました。

これは黒と白を使ってきたわたしにとって最後のピースのようなモノトーンの世界からの手紙のようでした。

思考や計画を上回る衝動が、予想以上に次の作品を求めたのです。


それは、ジャクソン・ポロックに代表される「アクション・ペインティング」にも通じる、身体的な行為そのものが作品となる感覚でした。

私の「ロスト・ペインティング」の再構築も、過去の作品と今の私が、時間軸を超えて対話する「差異」の行為です。

これは当初、漠然とテーマにしていたキーワードでしたが、その言葉に行為が乗っかりました。



途切れながらも搔き集めたものたち


「まなざしと差異」。いや、「まなざしと差延」は、制作の過程で生まれたこれらの気づきのすべてを包含しています。


私の作品は、これまでの私の思考の軌跡であり、途切れながらも掻き集めた探求の記録です。

それは、無気力な日々、衝動的な筆致、そして過去との対話を経て、ようやく辿り着いた、妥協のない「不完全」の美しさです。


会場に足を運んでくださる皆さんには、作品を鑑賞するだけでなく、このブログで綴ってきた私の思考のプロセス、そして作品そのものが持つ「物語」を感じ取っていただけたら嬉しいです。


個展の詳細は今しばらくお待ちください。



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